介護施設で働いているびょうです。

今回の夜勤は辛かった。

熱発の人がいる関係諸々で、

センサーマットが導入されてて。

別に利用者さんに悪意が無いのはわかってる。

でも、

何故かね、

そういうタイミングというのは、

人の一番弱くて柔らかいところをエグッてくるんだよ。

センサーマットが夜中の2時半に鳴るとかね。

その時間が一番安静にしておきたいんや!

なんっか物凄く忙しい夜勤を終えてヘロヘロになっていた私は

9時5分にタイムカードを押して

一路、車を飛ばした。

それは、

今日封切りの映画「ダイナー」の朝イチの上映が9時25分だから!

自分でもよく間に合ったと思う。


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ここであらすじを全て暴露するつもりはないけれど

人に取って何がネタバレになるかわからないから、

ネタバレ絶対嫌やねん、という人は、ここでお別れです。







まず、私は平山夢明の大大大ファンです。

友達がこの原作「ダイナー」を貸してくれて、

そのグロさと、一種投げやりなのに愛を感じる語り口なのがツボにはまり

平山夢明の著書を一気に買い漁ってダンボールに収納するまでに

なってしまった。

それもなんでかしらんけど、

何度も何度も読んでしまう。

その中でも、以前映画化されて上映が叶わなかった?

「無垢の祈り」とこの「ダイナー」は別格なのである。

まあ、普通に考えてこの映画を映画化するなんて

誰も思わないし、

映画化するにしても、あまりにグロすぎてR18でも無理やろ、

と思ってしまうものである。

ま、どうでもいいや…


が、しかし!

私は同時に蜷川実花のファンでもある。

彼女の映画に中身は求めないけれど

その映像美は悔しいけれど惹かれる。

以前、東京の水族館で

蜷川実花の作品とクラゲのコラボというのを見に

のこのこ田舎からお上りさんしたものです。

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そんな二人がタッグを組んだのだから

さぞかし素晴らしいモノだろうかというと、

まあ、

なんですね、

奥さん。

私の映画を見た直後にその気持を忘れるめえとツイートしたのが

こちら。



映画のセットは凝りに凝っていて、とにかくグラマラスで

ねっとりとした色合いが素晴らしい。

現代の「ニトリと無印とイケア最高!シンプルって素敵ね」

というさっぱりした世界に油絵の具とジャムを塗りつけたような

ねっとりした重厚かつ絢爛豪華。

いや、よくあそこまで作り込んだと思う。

背景には横尾忠則まであるじゃないか!


あと若手俳優さんはよく知らないけれど

あのクドい個性的なキャラをよく演じていると思う。

藤原竜也はイメージより線が細いというか

一種のハードボイルドなんだから、

もう少し朴訥な感じの人いいなと思ったり。

玉城ティナちゃんは、ほんとDVD買ってずっと眺めていてもいいくらい

可愛い。

自分が同じ人間でごめんね、と思えるほど

可愛い。

でも、劇中では触れられなかったけど小説では大切と思ってた

「オオバカナコは人殺し」

というエピソードがないし、そこを超えて来た

オオバカそうで、実は愛情深い根性もん、

というタフさを持った女性ではないんだよね。


いろいろ言いたいことはあるけれど、

結局、このキャラクターや物語の設定は

全て蜷川実花ワールドを構成するための道具でしかないってこと。

こう言ってしまうと悪い評価ということになってしまうけれど

残念ながら、

その蜷川実花ワールドが凄かった。

逆に言えば、物語はもうどうでもいい感じ、かな。

そもそも、ダイナーの舞台は

「キャンティーン」という名の定食屋。

そこで供されるハンバーガーという大衆料理を

芸術的に昇華させている、という設定なのだから

原作で感じられるキャンティーンは

アメリカンなのだよね。

私の勝手なイメージだけれど、

原作は西部劇的なハードボイルド。


でまあ、いろいろ言いたいことはあるのだけど

映像が綺麗だったから、

まあいいか!

別物だけど、これはこれで良いと目が言っている。


また、後半が宝塚になっていて、

全体的にもお芝居の方の舞台のイメージが強く、

そうだった、この人、蜷川幸雄の子供だったんだなあと思ったら

まさかのお父さん、出演だし。

そして、舞台芸術、舞台文化に敬意を払ったような映画、

これは蜷川幸雄へのオマージュ、

娘からお父さんへの思いなんだなあ、なんて。


私が平山夢明が好きなのは良くも悪くも、そのリアルさであって

その小説をまったくの虚構の上にガラスの薔薇や金魚を作ってしまうような

監督を用いている訳だから、本当に荒唐無稽で

どう評価していいかわからない。


ただ、小説では最後を思わせぶりに描いていて、

希望を持ちながら絶望しているような切なさに対して、

日本の映画にありがちな、

みなまで言うな、説明するなー

ってラストが、ちょっと興ざめ。


これはこれで良いと思うし、妙にコミックぽいなと思ったら

知らんけどコミック化された上での映画化みたいだし。

でも、自分としては、

映画「SAW」みたいな殺伐とした冷たいタイルのような質感で

スプラッター映画みたいなダイナーが見たいな。

て言いながら、またあの映像美に浸りたいから

もう一度くらい行くかもしれません。

これを書きながらちょっと、映画のカテゴリでも作ろうと思ったけど

私の映画やドラマの趣味が、

あまり他の人とリンクしないことが多いので、

止めとこう。

7回連続夜勤に挑戦するにしては、

ちょっと振り切れた感じの幕開けでした。


 

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