恋愛映画はあまり見ない。韓国ドラマは好きだけれど、ラブコメにはそれほど興味がない。今回映画館へ足を運んだ理由は、最近とても好きな俳優、ク・ギョファンが出演しているからだった。
物語は、若い頃に出会い愛し合いながらも、それぞれの事情で別れた二人が、嵐で足止めされた空港で再会するところから始まる。
最初は「映画館で見るほどではなかったかな」と思いながら見ていた。
けれど、ただの恋愛映画ではなかった。
人生には誰にでも「あの時もしも」という記憶がある。その「もしも」を静かに描いた映画だった。
韓国作品らしく、努力だけでは越えられない格差や、生まれ育った環境が人生に与える影響も描かれていて、その点も印象に残った。
でも、私は最後までヒロインに引っかかった。
彼女は、本当に彼を愛していたのだろうか。
優しくしてくれたから。
受け入れてくれたから。
そんな理由で彼を選んだようにも見えた。
だから、どうにも共感できなかった。
ところが、家に帰ってから映画を思い返しているうちに、その違和感の正体が分かった。
彼女が欲しかったのは、恋人ではなかったのかもしれない。
住む場所だった。
安心して帰れる場所。
心をほどける場所。
そう思った瞬間、今度は私自身のことが頭に浮かんだ。
住む場所が欲しかったのは、私だった。
実家は賃貸だった。
姉との関係もあり、若い頃は「帰る場所」と思えたことはほとんどない。
父を見送り、母は施設で暮らしている。
今も毎月の家賃を払いながら、この先働けなくなったら私はどこへ行けばいいのだろう、と考えることがある。
振り返ると、恋愛をした理由のどこかに「いつか安心して暮らせる場所を手に入れたい」という気持ちがあったのかもしれない。
もちろん、それだけではない。
でも、そんな自分がいたことを否定できない。
映画のヒロインは必死に勉強し、働き、自分の居場所を手に入れようとしていた。
私はそんな彼女を、ずっと理解できないと思っていた。
本当は違った。
理解したくなかっただけだった。
映画は過去を色彩豊かに、現在をモノクロで描く。
その理由が最後に明かされる演出も、とても美しかった。
帰り道、パンフレットを抱えて仲良く歩く高齢のご夫婦を見かけた。
その後ろ姿を見ながら、映画館を後にした。
最後に駄文だけど言わせて。
現在のモノクロの時間の中のク・ギョファンはとても良い。
映画に拘ってきた彼が映画館の暗闇に浮かぶ姿を見られたのはとても良かった。
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